お知らせ

片頭痛治療においてニューロモデュレーション(VNS)は有用か:PRESTO試験

海外では片頭痛治療に

非侵襲的迷走神経刺激(nVNS)経皮的三叉神経刺激(eTNS)、単発経頭蓋磁気刺激(sTMS)、経皮的複合後頭神経・三叉神経刺激(eCOT-NS)、遠隔電気ニューロモデュレーション(REN)、経皮的耳介迷走神経

などの非侵襲的ニューロモデュレーションが臨床応用されています。

本日は、非侵襲的迷走神経刺激(nVNS:noninvasive vagus nerve stimulation)の偏頭痛に対する効果を検証した論文を報告します。

論文の趣旨

Patient 248名の繰り返す片頭痛患者(248名)

Intervention 痛みの発生から20分以内にnVNS治療をうける(122名)

Comparison 痛みの発生から20分以内にsham刺激を受ける(126名)

Outcome 主要評価項目:刺激開始から120分後の頭痛消失

      副次的評価項目:30分後あるいは60分後における頭痛消失、30分後、60分後、120分後における頭痛改善、随伴症状消失とした。 

結果

頭痛の消失率については、刺激開始後30分後、60分後でnVNS群がsham群に対して有意に高かったが、主要評価項目としていた120分後の頭痛消失率は有意ではなかった。

副次評価項目の頭痛改善率に関しては、刺激開始120分後においてnVNS群がsham群に比較して有意に高かった。随伴症状に関しては刺激開始120分後における悪心を訴えた率がnVNS群でsham群に比較して低い傾向を示した。

片頭痛に対するニューロモデュレーション治療について

今回の結果からは、nVNS治療が片頭痛の急性期治療として有効であり、かつ安全であることがわかりました。

FDAではnVNS装置(gammaCore Sapphire)が急性期治療、予防療法ともに認可されています。

今後は大規模RCT試験も必要と2021年の頭痛の診療ガイドラインでは言われています。

参考文献

Tassorelli C, et al. Noninvasive vagus nerve stimulation as acute therapy for migraine,Neurology. 2018 Jul 24;91(4):e364-e373.

「頭痛の診療ガイドライン2021」(日本精神神経学会・日本頭痛学会・日本神経治療学会/監,「頭痛の診療ガイドライン」作成委員会/編),医学書院,2021