ブレインフォグ専門外来
【医師解説】コロナ後遺症・ブレインフォグとは?治療は?
「いつのまにか違うことを考えている」
「頭にモヤがかかったように、思考がまとまらない」
「何度も読み返したり、聞き返さないと頭に入らない」
このような症状は「ブレインフォグ」と呼ばれ、ストレスや働きすぎで脳に負荷がかかった状態が続くことや、コロナやウイルスの感染などにより起こることがあります。
- 頭にモヤがかかる
- 判断力や集中力が落ちてきた
- 何度も読み直さないと頭に入らない
- 同じことをぐるぐると考えてしまう
- うまく眠れず朝起きてもすっきりしない
ブレインフォグは脳機能のケアにより改善できる可能性があります。
仕事への意欲、集中力が湧かない。やらなければいけない仕事が溜まって何から手を付けていいかわからない。このような状態が続き、仕事や生きづらさを感じる方が多くいらっしゃいます。
ブレインフォグとは
ブレインフォグは言葉の通り「脳の霧・脳のモヤ」を意味します。
頭の中に霧がかかったような状態で、記憶障害や集中力の低下などが見られます。
新型コロナウイルス感染症でもコロナ後遺症(Long Covid)の一つとして有名になりましたが、定義の明確な医学用語ではありません。
コロナ後遺症の前から、うまく眠れない、長時間労働が続いた、睡眠がうまく取れない状態でブレインフォグの相談をされる方も多くいらっしゃいました。
ブレインフォグは脳のミクログリアの炎症がかかわっていると考えられ、当院では脳の炎症をフォーカスしたブレインフォグの治療を行っています。
ブレインフォグを起こす原因
ブレインフォグは病名ではなく、症状の一つを表す用語です。
ブレインフォグを引き起こしうる病態には様々な病気があると言われています。
- うつ病・双極性障害
- 不眠症・適応障害
- 慢性疲労症候群
- PMS(月経前症候群)/PMDD(月経前不快気分障害)
- ADHD(注意欠陥多動性障害)/ASD(自閉症スペクトラム・発達障害)
- 依存症(アルコール・薬物など)
- コロナ後遺症(Long Covid)など
新型コロナウィルス感染症としてのブレインフォグ
新型コロナウイルス感染後にコロナ後遺症としてブレインフォグや倦怠感、疲労感に悩まされる方が多くいらっしゃいます。
特に神経や精神の領域では、オミクロン株以降、倦怠感(慢性疲労症候群)や頭に靄がかかる(ブレインフォグ)の頻度が多いと言われています。
中国の研究では、COVID-19感染後の認知機能低下と血液中の炎症性物質に正の相関があることが報告されています。
感染やワクチン接種などを受けた時には免疫反応が起きます。この免疫反応は身体の交感神経活動を活性化させ炎症を起こし、その結果ブレインフォグが起こるとされています。
2020年 Front.Neul「Applications of Non-invasive Neuromodulation for the Management of Disorders Related to COVID-19」の図
当院で行っている薬を使わない脳のTMS治療(経頭蓋磁気刺激)やtDCS(経頭蓋直流電気刺激療法)などは炎症により高くなった交感神経活動を打ち消すことでブレインフォグの症状改善、緩和につながるのではないかといわれています。
心の不調におけるブレインフォグ~神経炎症性仮説~
不眠症やうつ病、適応障害など高いストレス状態が続いた方にブレインフォグでお悩みの方が多くいらっしゃいます。
最近ではセロトニン不足の「モノアミン仮説」ではうつ病が起こる原因が十分に説明できないとされ、うつ病の原因が脳の慢性炎症でおこる「神経炎症性仮説」が注目され始めています。
米国ではセロトニンを増やすための抗うつ薬の使用は軽症・中等症のうつ病には制限されており、抗うつ薬は軽症のうつ病にはファーストチョイスではありません。
2022年3月 「うつ病患者の治療前の血中サイトカイン値を調べることが抗うつ薬の選択に有用である」ということを関西医科大学が報告した論文です。
私たち医療法人社団ベスリ会でも大学と提携し炎症性サイトカインについての研究をおこなったり、神経炎症に対するTMS治療や鍼灸の治療を行っています。
脳の実行機能:ワーキングメモリーとTMS治療の関係
ワーキングメモリ、とは作業や動作に必要な情報を一時的に記憶・処理する能力です。
仕事や勉強に必要なワーキングメモリーが動かなくなった状態が、ブレインフォグです。
ブレインフォグ、うつ病、慢性疲労症候群も、脳の炎症によるワーキングメモリーの障害がその原因の可能性が高いです。
薬を使わないTMS治療とは
TMS治療(transcranial magnetic stimulation/経頭蓋磁気刺激法)は、うつや集中力低下に関わる脳を「磁気刺激」により直接ケアします。
磁気による治療のため、身体を傷つけることがない副作用の少ない治療です。
「心のお薬は依存しそうで怖い」
「副作用を少なく、仕事を継続したい」「できるだけ早く社会復帰したい」
という悩みを持った方にピッタリの治療です。
ベスリTMS横浜醫院のTMS治療費用
TMS治療の初回相談料は5,500円(初回施術無料)です。
初診時にお困りの症状などをお伺いし、TMS治療が可能か、どのような刺激方法で行うのが最善かTMS専門のスタッフとともに決定いたします。
TMS治療のおすすめポイント
①治療効果が早く得られやすい
TMS治療の効果は早ければ10回程度で効果がでてくることが多く、土・日の週末で週末短期治療をする方もいます。
②副作用が少なく、依存性がない
お薬の治療は全身に影響を及ぼし、長期間の服用により依存性に悩まされる方もいます。TMS治療は脳に対する磁気の刺激のため、大きな副作用や依存性はありません。
人によっては頭痛や吐き気などが出る場合もありますが、刺激を当てているところに「デコピン」程度の痛みを感じる、回数を重ねるごとに副作用は少なくなっていくことが多いです。
③日中の仕事や勉強に支障が出にくい
お薬の治療は眠気や持続する吐き気、脳機能低下による集中力や決断力の低下などを自覚される方がいます。TMS治療は脳機能を調整するため、日中の仕事に影響が出る副作用が少ないことが特徴です。
ベスリTMS横浜醫院の特徴
- 平日夜・土日診療で、「週末短期集中治療」が試せる
- TMS治療後の自立した再発予防策がカウンセリングでつくれる
- 1,500症例以上の治療実績と海外や日本のTMS治療の専門家に指導を受けた経験豊富なスタッフがいる
〜治療実績~
よくあるご質問
ブレインフォグを改善させるために日常生活でできること
ブレインフォグを改善させるために日常生活の取り組みでできることを紹介します。
- 有酸素運動:1日に数回2−3分でも良いです。疲労感や倦怠感が強い時には無理をしないことも大事です。
- 地中海料理:オリーブオイル、果物・野菜、ナッツなどを含む食事は脳を活性化すると言われています。
- アルコールを控える
- 良質な睡眠
- 社会活動に参加する
- 脳を刺激するようなマインドフルネスや音楽を聴くなど新しいことを行う
まとめ
- コロナ後遺症(Long Covid)や心の不調でブレインフォグに悩む人が増えている
- コロナ後遺症や慢性疲労症候群、心の不調のブレインフォグの原因は、脳の炎症によるワーキングメモリーの障害の可能性がある。
- ブレインフォグ、ワーキングメモリー機能を改善する治療として薬を使わない脳の磁気治療(TMS治療)を行える。