グリーフケアとは?大切な人を亡くした悲しみと向き合うためのカウンセリング

大切な人や存在を失ったとき、深い悲しみや喪失感に襲われることがあります。
「もう何か月も経つのに涙が出てしまう」
「周囲は普段通りの生活に戻っているのに、自分だけが取り残されたように感じる」
「もっと何かできたのではないかと考えてしまう」
このような気持ちは決して珍しいものではありません。
グリーフ(悲嘆)は、大切な存在を失ったときに誰にでも起こり得る自然な反応です。
しかし、
「いつまでも落ち込んでいてはいけない」
「時間が解決してくれるよ」
と励まされることで、かえって悲しみを一人で抱え込み、苦しさが強くなってしまう方も少なくありません。
当院では、そのような喪失体験による悲しみや苦しさに寄り添うグリーフケアのカウンセリングを行っています。
この記事では、
- グリーフケアとは何か
- グリーフ(悲嘆)とは何か
- カウンセリングでできること
- 心療内科・精神科へ相談した方がよいタイミング
について分かりやすく解説します。
グリーフケアとは?
グリーフケアとは、大切な人や存在を失ったことで生じる悲しみや喪失感(グリーフ)に寄り添い、その人らしいペースで心の整理を支援するためのケアです。
グリーフは、ご家族やパートナーとの死別だけではありません。
例えば、
- ご家族との死別
- パートナーとの死別
- ご友人との死別
- ペットとの別れ
- 離婚や離別
- 流産・死産
- 病気や障害による生活の変化
など、人生におけるさまざまな喪失体験で生じます。
グリーフケアは、悲しみをなくしたり忘れたりすることを目的とするものではありません。
大切な人や存在への思いを抱えながらも、自分らしい生活を少しずつ取り戻していけるよう支援することを目指します。
グリーフ(悲嘆)とは?
グリーフ(Grief)とは、大切な人や存在を失った際に生じる悲しみや喪失感などの心の反応を指します。
悲しみだけでなく、
・怒り
・後悔
・不安
・孤独感
・虚無感
・罪悪感
など、心の変化としてさまざまな感情が現れることがあります。
また、
・眠れない
・食欲がわかない
・疲れが取れない
・集中できない
といった身体的の変化として現れることもあります。
これらは決して異常なことではありません。
大切な存在を失ったときに誰にでも起こり得る反応です。
グリーフには「正しい順番」も「期限」もありません
以前は、
- 否認
- 怒り
- 取引
- 抑うつ
- 受容
という「悲しみの5段階(キューブラ・ロス)」が広く知られていました。
しかし現在では、悲しみの経過は人それぞれ異なり、決まった順番で進むものではないと考えられています。
数か月で落ち着く方もいれば、数年経っても悲しみが続く方もいます。
また、一度落ち着いたように感じても、
- 命日
- 誕生日
- 結婚記念日
- 思い出の場所
などをきっかけに再び悲しみが強くなることも珍しくありません。
周囲と比べる必要はありません。
グリーフに「正しい期間」や「正しい悲しみ方」はなく、ご自身のペースで向き合っていくことが大切です。
このような方はグリーフケアをご検討ください。
次のようなお悩みはありませんか。
- 家族を亡くして気持ちの整理ができない
- パートナーを亡くした悲しみが続いている
- ペットロスから立ち直れない
- 離婚後の喪失感が強い
- 時間が経っても涙が止まらない
- 「もっと何かできたのでは」と自分を責めてしまう
- 誰にも気持ちを話せず、一人で抱え込んでしまっている
一つでも当てはまる場合は、グリーフケアがお役に立てるかもしれません。
「早く立ち直らなければ」と焦る必要はありません。
悲しみの感じ方や回復の過程は、一人ひとり異なります。
「早く立ち直らなければ」と思わなくて大丈夫です
悲しみの感じ方や回復の過程は人それぞれです。
数か月で気持ちが落ち着く方もいれば、数年経っても悲しみが続く方もいます。
また、怒りの気持ちが湧いてきたり、複雑な感情を抱くこともあります。
どのような感情も、その方なりの大切な反応であり、グリーフに決まった期間や正解はありません。
大切なのは、ご自身の気持ちを否定せず、悲しみや寂しさを自然な感情として受け止めることです。
グリーフケアのカウンセリングでは何をしますか?
グリーフケアでは、悲しみをなくすことや忘れることを目標にはしません。
ますは、安心できる環境の中で、「今自分はどのような気持ちでいるのか」を整理することから始めます。
カウンセリングでは、例えば次のようなお話を伺います。
- 今感じている悲しみや寂しさ
- 大切な人や存在との思い出
- 抱えている後悔や罪悪感
- 周囲には話しづらい気持ち
- 今後の生活への不安
無理に前向きになることを求めたり、「忘れましょう」とお伝えしたりすることはありません。
ご自身のペースで気持ちを整理しながら、少しずつ日常生活を取り戻していけるようお手伝いします
目指すのは「悲しみを消すこと」ではありません
グリーフケアは「悲しみをなくす」ことを目的とするものではありません。
大切な人や存在との思い出を大切にしながら、悲しみとうまく付き合い、自分らしい生活を少しずつ取り戻していくことを目指します。
| グリーフケアを受ける前 | グリーフケアを通して目指すこと |
|---|---|
| 悲しみに押しつぶされ、何も手につかない | 悲しみは残っていても、少しずつ日常生活を送れるようになる |
| 「もっと何かできたのでは」と自分を責め続けてしまう | 自分を責める気持ちが少しずつ和らぎ、大切な人や存在との思い出を穏やかに振り返られるようになる |
| 気持ちを誰にも話せず、一人で抱え込んでしまう | 安心して気持ちを言葉にできるようになる |
| 大切な人や存在を思い出すたびに強い薬さを感じる | 思い出に触れても、以前より落ち着いて向き合える時間が増えていく |
| 将来のことを考える余裕がない | 自分のペースで、これからの生活を少しずつ考えられるようになる |
| 「この悲しみはずっと続くのでは」と感じている | 悲しみを抱えながらも、自分らしい生活を取り戻していく |
※悲しみの期間に「正解」はありません。困りごとが続いている場合は、ご相談ください。
グリーフケアは心療内科で受けられますか?
「悲しいだけで病院へ行ってもよいのだろうか」と迷われる方も少なくありません。
グリーフそのものは病気ではなく、大切な存在を失ったときの自然な反応です。
そのため、悲しみを感じているからといって、必ずしも治療が必要というわけではありません。
一方で、
- 悲しみが長く続き、日常生活に大きな支障がある
- 不眠や食欲低下が改善しない
- 自分を責め続けてしまう
- 誰にも気持ちを話せない
- 抑うつ症状や不安が強くなっている
このような場合には、心療内科や精神科へ相談することで気持ちが整理しやすくなることがあります。
必要に応じて、カウンセリングやお薬による治療を組み合わせながらサポートいたします。
よくある質問
Q. グリーフケアとは何ですか?
大切な人や存在を失ったことによる悲しみや喪失感に寄り添い、その方のペースで気持ちを整理できるよう支援するケアです。
Q. どのくらい悲しみが続くと相談した方がよいですか?
悲しみに決まった期間はありません。
ただし、
- 日常生活が送れない
- 不眠や食欲低下が続く
- 自分を責め続けてしまう
などの場合は相談をおすすめします。
Q. ペットロスでも相談できますか?
もちろんです。
ペットも大切な家族です。
ペットとの別れによる悲しみもグリーフケアの対象になります。
Q. カウンセリングでは何をしますか?
現在感じている悲しみや後悔、不安などを安心して話せる場を提供し、ご自身のペースで気持ちを整理していきます。
無理に前向きになることを目指すのではなく、ご自身のペースで気持ちを整理していくことを大切にしています。
Q. 薬を飲まなければいけませんか?
必ずしも薬が必要になるわけではありません。
グリーフケアでは、まずカウンセリングを中心に、その方の状態に応じた支援を行います。
不眠や強い抑うつ症状などがある場合には、ご相談のうえ必要に応じて治療をご提案することがあります。
まとめ
- グリーフケアとは、喪失による悲しみに寄り添うための支援です。
- 悲しみや喪失感は誰にでも起こり得る自然な反応です。
- 悲しみをなくすことではなく、自分らしいペースで生活を取り戻すことを目指します。
- 大切な人との別れだけでなく、ペットロスなども対象になります。
- 当院では、患者様一人ひとりに寄り添うグリーフケアのカウンセリングを行っています。
一人で抱え込まず、ご相談ください
大切な人との別れによる悲しみは、決して弱さではありません。
そして、その悲しみを一人で抱え続ける必要もありません。
当院では、グリーフケアのためのカウンセリングを通じて、患者様お一人おひとりの気持ちに寄り添いながらサポートを行っています。
「誰かに話を聞いてほしい」
「今の気持ちを整理したい」
そのように感じたときは、どうぞお気軽にご相談ください。
参考文献
- 日本サイコオンコロジー学会『遺族ケアガイドライン』
- American Psychological Association. Grief and Bereavement
- World Health Organization. ICD-11 Prolonged Grief Disorder
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