お知らせ

ニューロモデュレーションとは

ベスリグループは2017年にTMSを導入し、今年で5年目となりました。

この5年間TMSも変化しつつありますが、TMS含めた他デバイス治療の変化も世界では著しく、

このように、TMS含めたデバイス治療のことをニューロモデュレーションといいます。

ニューロモデュレーションとは

Neuro+Modlutaionであり、

「ニューロは神経」「モデュレーションは調整」というように訳されます。

デバイスを用いて電気・磁気刺激や薬物の投与を行い、神経活動を調整する治療法です。

侵襲的(手術が必要)なものと、非侵襲的(手術が不要)なものに分かれ、

近年は非侵襲的なニューロモデュレーション治療が広まりつつあります。

ニューロモデュレーションの種類

1、脳深部刺激(DBS)

 脳深部刺激療法(DBS:Deep Brain Stimulation)は侵襲的な治療であり、

 手術にてデバイスを脳に埋め込み、脳の深部を電気刺激することで、

 パーキンソン病、振戦、ジストニアなどの不随意運動の症状を改善することができる治療です。

2、大脳皮質刺激(MCS、TMS 、tDCS)

  侵襲的な治療としては運動野刺激(MCS:Motor Cortex Stimulation)が

  難治性疼痛に行なわれてきました。

  近年は非侵襲的な治療が広まりつつあり、

  経頭蓋磁気刺激(TMS:Transcranial Magnetic Stimulation)、

  経頭蓋直流刺激(tDCS:Transcranial Direct Current Stimulation)

  を用いて、

  失語、高次脳機能障害、嚥下障害

  疼痛、頭痛、パーキンソン病、

  そしてうつ病をはじめとする精神疾患にも治療対象が広がっています。

3、経頭蓋磁気刺激(TMS)

 経頭蓋磁気刺激(TMS: Transcranial Magnetic Stimulation)は

 非侵襲的に大脳皮質を刺激できる治療法です。

 反復経頭蓋磁気刺激(rTMS: repetitive Transcranial Magnetic Stimulation)では、

 低頻度では大脳皮質の興奮性を低下させ、高頻度では興奮性を高めます。

 これらの効果に一定の持続性があることから

 可塑的変化の誘導が示唆され、脳機能の再構築を図ることが試みられています。

 リハビリ領域において脳梗塞などの脳損傷による回復や、

 うつ病などのメンタル領域の治療にも使用されています。

 TMSについて詳しく知りたい方はこちらから

  

4、脊髄硬膜外刺激(SCS)

  脊髄刺激療法(SCS:Spinal Cord Stimulation)は侵襲的な治療であり、

  手術にて脊髄の硬膜外に電極を留意して刺激を行います。

  脊髄に微弱な電気を流すことで難治性疼痛の治療に用いられます。

 

5、末梢神経刺激(PNS)

 末梢神経電気刺激(PNS: Peripheral Nerve Stimulation)といい

 末梢神経そのものに電極を接触させて刺激を行います。

 主に疼痛の治療として行われています。

 

6 、後頭神経刺激(ONS)

 後頭神経刺激(ONS:Occipital Nerve Stimulation)や

 後頭神経野刺激(ONfS:Occipital Nerve field Stimulation)は

 もともと後頭神経痛治療のために開発された治療でした。

 慢性頭痛治療に応用され、特に偏頭痛や群発頭痛に対する有効性が明らかになっています。

7、迷走神経刺激(VNS)

 迷走神経刺激(VNS:Vagus Nerve Stimulation)は

 難治性てんかんに対する治療の一つで、

 頚部の迷走神経に電気刺激を与え、てんかん発作を緩和させる治療です。

 てんかんの治療として開発されたVNSですが、

 精神面への影響が見出され、現在はうつ病に対する治療としても用いられています。

 

8、三叉神経刺激(TNS)

 三叉神経刺激(TNS:Trigeminal Nerve Stimulation)は

 皮下に電極を埋設する外科的な方法に加えて、

 眼窩上神経を刺激する経皮的な方法も行われています。

 三叉神経痛のみならず、てんかんや頭痛、精神疾患に対する効果が検討されています。

9、翼口蓋神経刺激(INSPGS)

 群発頭痛における自律神経症状の発現は

 翼口蓋神経節を介して頭蓋内の副交感神経系が過剰興奮すると考えられています。

 治療として翼口蓋神経節ブロックなどが行われています。

 この仕組みを活かした

 翼口蓋神経刺激(INSPGS:IntraNasal SphenoPalatine Ganglion Stimulation)は

 翼口蓋神経節の活動を高頻度電気刺激で抑制する治療となります。

 慢性群発頭痛の急性期に有効性と安全性が確認されています。

 

10 、舌下神経刺激

 閉塞性睡眠時無呼吸症候群に対して行われています。

 睡眠中の呼吸に動悸して微弱な電気の刺激で舌下神経を刺激することで、喉の通りを良くします。

11、仙骨神経刺激(SNS)

 仙骨神経刺激(SNS: Sacral NErve Stimulation)は、

 排尿・排便機能の調整を行います。

 刺激条件を調整することで、無緊張性膀胱、過活動性膀胱、便失禁の治療として用いられています。

日進月歩な領域で日々研究が重ねられ、適応疾患や治療方法が変化している領域です。

ベスリグループでは、大学・企業と連携しながら治療についての研究を進めています。

参考文献:

鮎澤 聡,松村 明,ニューロモデュレーションの現状と展望,脳外誌 26巻12号,2017年 12月