【医師監修】休職中の不安とは?「このままで大丈夫?」と感じるときの心の整え方
この記事で分かること
この記事では、休職中に感じやすい不安について、以下の内容を解説します。
- 休職中に不安を感じるのはなぜなのか
- 「このままで大丈夫?」と焦ってしまう理由
- 休職中に起こりやすい心身の変化
- 休職中はどのように過ごせばよいのか
- 復職を焦らず、回復を進めるためのポイント
- 休職中に医療機関へ相談したほうがよいサイン
- 当院で行っている休職・復職サポート
休職中の不安とは?
休職中の不安とは、仕事から離れて心身を休ませている期間に、「このまま復職できるのだろうか」「会社に戻れるだろうか」「周囲にどう思われているのだろうか」といった心配が強くなる状態を指します。
休職は本来、心身を回復させるための時間ですが、仕事から離れたことでかえって不安や焦りを感じる方も少なくありません。
「休んでいるのに、なぜか休まらない」という状態になることもあります。
大切なのは、休職中に不安を感じること自体を「自分は回復していない」「弱い」と考えないことです。
こんなことで悩んでいませんか?
休職中、こんな気持ちになることはありませんか?
- 「このまま仕事に戻れなかったらどうしよう」と考えてしまう
- 休んでいることに罪悪感がある
- 周囲が働いているのを見ると焦ってしまう
- 同僚や上司にどう思われているか気になる
- 復職のことを考えると不安になる
- 「いつになったら元気になるんだろう」と焦ってしまう
- 何もしていない自分に価値がないように感じる
- 朝起きても何をすればよいのかわからない
- 昼夜逆転してしまった
- 外出する機会が減った
- 家にいる時間が長くなった
- 少し元気になったと思ったら、また落ち込む
- 復職したい気持ちはあるのに、仕事のことを考えると怖くなる
- 休職期間が延びることが怖い
- 「このまま退職することになるのでは」と心配になる
こうした悩みがあるからといって、必ずしも回復が遅れているわけではありません。
むしろ、心身が疲弊している時期には、まず「休むこと」そのものが治療の一部になることがあります。
休職中になぜ不安になるのでしょうか?
仕事から離れることで、考える時間が増えるから
仕事をしている間は、目の前の業務に追われていて、自分の状態について深く考える時間がないことがあります。
しかし休職すると、仕事から離れた時間が増えます。
すると、
「本当に復職できるのかな」
「会社は自分をどう思っているんだろう」
「同期はどんどん先に進んでいるのに、自分は何をしているんだろう」
など、さまざまなことを考えてしまいやすくなります。
生活リズムが崩れることで、さらに不安定になりやすい
休職すると仕事に合わせて起きる必要がなくなるため、起床時間が遅くなったり、昼夜逆転したりすることがあります。
睡眠・食事・活動量などの生活リズムが乱れると、心身の調子にも影響することがあります。
そのため、休職中は「何もしないで休む」だけではなく、状態に応じて少しずつ生活リズムを整えていくことも重要です。
当院でも、休職中の生活リズムを整え、復職に向けて徐々に活動量を増やしていくことを重視しています。
休職中にはどのような症状が出るのでしょうか?
休職の原因となったストレスや心身の疲労が続いている場合、以下のような症状がみられることがあります。
心の症状
- 気分が落ち込む
- 不安が強い
- イライラする
- 涙が出る
- 自分を責めてしまう
- 将来が不安になる
- 何をするにも億劫になる
- 自信がなくなる
身体の症状
- 眠れない
- 朝起きられない
- 食欲がない
- 疲れやすい
- 頭痛
- 動悸
- 胃腸の不調
- 体が重い
認知・仕事に関する症状
- 集中できない
- 考えがまとまらない
- 判断することが難しい
- 物忘れが増えた
- 仕事のことを考えると強い不安を感じる
こうした症状が続いている場合には、単なる「気持ちの問題」と考えず、医療機関に相談することも大切です。
休職中は何をすればよいのでしょうか?
休職中の過ごし方に「これが正解」というものはありません。
大切なのは、現在の心身の状態に合わせて段階的に過ごし方を変えていくことです。
① まずは心身を休ませる
休職直後で心身ともに疲弊している場合には、まず十分な休養が必要です。
「休職したのだから何かを頑張らなければ」と考える必要はありません。
睡眠や食事を整え、安心して過ごせる時間を確保することから始めます。
② 少しずつ生活リズムを整える
状態が落ち着いてきたら、
- 起床時間を一定にする
- 朝にカーテンを開ける
- 食事の時間を整える
- 短時間の散歩をする
- 日中に少し活動する
など、無理のない範囲から生活リズムを整えていきます。
③ 復職に向けて活動量を増やしていく
心身の状態が回復してきたら、少しずつ日中の活動時間を増やしていきます。
いきなり仕事と同じ生活に戻すのではなく、
休む → 生活を整える → 活動量を増やす → 復職準備 → 復職
というように段階を踏んでいくことが重要です。
「元気になったから、すぐ復職」ではありません
ここは休職中の方にぜひ知っておいていただきたいポイントです。
「最近はかなり元気になったから、もう復職できるはず」
と思っていても、
- 朝決まった時間に起きられる
- 日中に一定時間活動できる
- 集中力が戻っている
- 外出しても大きく疲れない
- 人と話すことができる
- 仕事を想定した活動ができる
など、復職に必要な状態まで回復しているかを考える必要があります。
「休職前より楽になった」と「仕事に戻れる状態になった」は、必ずしも同じではありません。
休職中の不安を一人で抱え込まなくても大丈夫です
休職中は、
「会社には相談しにくい」
「家族には心配をかけたくない」
「友人には仕事のことを話しづらい」
という方もいます。
そのため、不安を一人で抱え込んでしまうことがあります。
しかし、
「いつ復職できるのか」
「今の過ごし方でよいのか」
「治療を続けるべきなのか」
といったことを、医師など第三者と一緒に整理することも回復への一歩になります。
休職中に医療機関へ相談したほうがよいのはどんなとき?
以下のような状態が続いている場合には、医療機関への相談をおすすめします。
- 不眠が続いている
- 食欲が戻らない
- 強い不安が続いている
- 気分の落ち込みが続いている
- 何をしても楽しいと感じられない
- 日中ほとんど活動できない
- 将来への不安が非常に強い
- 復職を考えると強い動悸や不安が出る
- 自分を責め続けてしまう
- 希望が持てない
- 日常生活にも支障が出ている
特に、「休めば自然に良くなるはず」と思っているのに状態が改善しない場合には、一度専門家に相談してみることをおすすめします。
当院では休職から復職までをサポートしています
当院では、休職中の心身の状態を確認しながら、休職から復職、さらに復職後までを見据えたサポートを行っています。
治療方法についても、お薬だけに限定せず、
- TMS治療
- カウンセリング
- 生活習慣の改善
- 休職・復職サポート
など、状態や希望に応じて検討します。
「薬をできるだけ使いたくない」という方についても、ご希望を伺いながら治療方針を一緒に考えていきます。
当院での休職治療
休職の段階に応じて、必要なサポートが変わります。
当院では、一人ひとりに合わせて以下のように段階的に治療を進めていきます。
【休職開始直後:心と体がブレーキをかけている時期】
▶ まずは、しっかり「休むこと」が治療です。
薬の調整:不安感や眠れなさなどの症状に合わせてお薬を調整します。
鍼灸:自律神経を整え、体力や気力の回復を促します。
こころ外来(カウンセリング):頭の中で繰り返される不安や考えごとを整理していきます。
【休職初期:少し動けるようになってくる時期】
▶ 無理なく生活リズムを整えていく段階です。
休職外来:起床・食事・活動など、生活の土台を整えるための具体的なアドバイスを行います。
鍼灸治療:本調子ではない体と心を、無理なく回復させます。
TMS治療:集中力や思考力の改善などを目指した脳の磁気治療です。
【休職中期:気持ちの整理ができるようになってくる時期】
▶ 過去を振り返り、これからを考えはじめる段階です。
こころ外来:休職に至った背景を整理し、自分の傾向や働き方のクセに気づいていきます。
不安カウンセリング:仕事の記憶や過去の経験がつらく感じる方をサポートします。
キャリアデザイン:今後の働き方やキャリアの方向性を一緒に整理します。
【休職後期:復職を見据えて過ごす時期】
▶ 再発しにくい働き方を一緒に考えていきます。
ビジネストレーニング:仕事の進め方や人との関わり方など、自分に合った「働き方のコツ」を身につけるプログラムです。
休職外来:復職までの見通しを立てながら、段階的に生活を整えていきます。
休職中の治療では、どのような変化を目指すのでしょうか?
| 現在のお悩み | 目指す状態 |
|---|---|
| 「このままで大丈夫?」と不安になる | 現在の状態を整理し、今後の見通しを持てる |
| 休んでいることに罪悪感がある | 休むことも回復のために必要な時間だと捉えられる |
| 昼夜逆転している | 自分に合った生活リズムを整えられる |
| 家から出ることが少ない | 少しずつ外出・活動できるようになる |
| 仕事のことを考えると不安になる | 仕事について冷静に考えられるようになる |
| 復職できるか自信がない | 復職に必要な準備を段階的に進められる |
| 復職したらまた体調を崩しそう | 再発予防を考えながら働き方を整えられる |
目標は「できるだけ早く復職すること」だけではありません。
復職した後も無理なく働き続けられる状態を目指すことが重要です。
どのような方に休職中のサポートが向いていますか?
特に以下のような方は、一度ご相談ください。
- 休職中なのに気持ちが休まらない
- 復職のことばかり考えてしまう
- 休職期間が長くなることが怖い
- 自分の回復具合がわからない
- 生活リズムが崩れている
- 何をして過ごせばよいかわからない
- 復職のタイミングを迷っている
- 復職してまた体調を崩すことが心配
- 休職から復職までの計画を一緒に考えてほしい
- 休職中の治療について相談したい
休職・復職・退職で迷っている方へ
休職中は、体調だけでなく、
「この会社に戻るべきなのか」
「転職したほうがいいのではないか」
「退職したら生活はどうなるのか」
など、仕事や人生そのものについて考えることもあります。
ただし、心身が疲れている時期には、将来について冷静に判断することが難しくなることもあります。
そのため、まずは心身の状態を回復させたうえで、その後の働き方を考えるという選択肢もあります。
当院では、復職だけをゴールとするのではなく、必要に応じて社会復帰や今後の働き方についても相談できる体制を整えています。
休職中の不安と「うつ病・適応障害」は同じですか?
| 休職中の不安 | うつ病・適応障害など | |
|---|---|---|
| 主な状態 | 復職や将来への心配が強くなる | 気分の落ち込み、不安、意欲低下などが持続 |
| きっかけ | 休職そのものや仕事への不安など | ストレスや環境変化などが関係することがある |
| 日常生活への影響 | 程度はさまざま | 睡眠・食事・仕事・家事などに支障が出ることがある |
| 対応 | 休養、生活リズム、相談など | 状態に応じて休養、心理療法、薬物療法、TMSなど |
| 重要なこと | 一人で抱え込まない | 医療機関で状態を評価する |
「休職中だから不安になっているだけ」と決めつける必要はありません。
症状が強い場合には、うつ病や適応障害などの可能性も含めて医師に相談することが大切です。
FAQ|休職中の不安についてよくある質問
Q. 休職中は何をして過ごせばよいですか?
まずは心身を休ませることが重要です。
その後、状態に応じて睡眠や食事などの生活リズムを整え、少しずつ活動量を増やしていきます。
Q. 休職中なのに不安になるのはおかしいですか?
おかしいことではありません。
仕事から離れることで、復職や将来について考える時間が増え、不安が強くなることがあります。
Q. 休職中はずっと家で休んでいればよいのでしょうか?
休職直後など、十分な休養が必要な時期もあります。
一方、状態が回復してきたら、生活リズムを整えたり、少しずつ活動量を増やしたりすることも重要です。
Q. いつ復職すればよいのかわかりません。
「何か月休んだら復職」という一律の基準ではなく、睡眠、生活リズム、体力、集中力、ストレスへの対応力などを総合的に確認して判断します。
Q. 休職期間が長くなってしまうのが怖いです。
休職期間だけを短くすることが必ずしも良いとは限りません。
復職後も安定して働き続けられる状態を目指すことが重要です。
Q. 休職中でもTMS治療を受けられますか?
状態や禁忌事項などを確認したうえで、TMS治療を選択肢として検討することができます。
当院では、薬物療法以外の治療を希望される方にもTMS治療をご案内しています。
Q. 休職中の生活についても相談できますか?
はい。
当院では診察やカウンセリングなどを通じて、休職中の生活リズムや復職に向けた準備についても相談できます。
Q. 復職ではなく転職や退職について相談することもできますか?
今後の働き方について悩んでいる場合も、ご相談いただけます。
まずは現在の心身の状態を整理したうえで、今後について考えていくことが大切です。
エビデンス・参考文献
休職中の不安や復職支援については、精神疾患の治療だけでなく、休養、生活リズム、職場復帰支援、再発予防などを含めて考えることが重要です。
参考資料として、以下が挙げられます。
- 厚生労働省「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」
- 厚生労働省「こころの耳」
- 日本うつ病学会「うつ病治療ガイドライン」
- American Psychiatric Association. The American Psychiatric Association Practice Guideline for the Treatment of Patients With Major Depressive Disorder.
- World Health Organization. World Mental Health Report.
※治療や復職の判断は、個々の症状、職場環境、業務内容などによって異なります。
この記事のポイント
- 休職中に「このままで大丈夫?」と不安になることは、珍しいことではありません。
- 仕事から離れることで、復職や将来について考える時間が増え、不安が強くなることがあります。
- 休職直後は、まず心身を十分に休ませることが重要です。
- 回復してきたら、睡眠や食事などの生活リズムを整え、少しずつ活動量を増やしていきます。
- 「元気になった」ことと「仕事に復帰できる状態になった」ことは、必ずしも同じではありません。
- 復職を焦るのではなく、復職後も安定して働ける状態を目指すことが大切です。
- 不安や不眠、気分の落ち込みなどが続く場合には、一人で抱え込まず医療機関に相談することができます。
「このままで大丈夫?」と思ったら、一人で抱え込まなくて大丈夫です
休職すると、
「早く元気にならなければ」
「いつまで休んでいるんだろう」
「このまま復職できなかったらどうしよう」
と、かえって焦ってしまうことがあります。
でも、休職は「何もしていない時間」ではありません。
これまで頑張り続けてきた心と身体を回復させ、これからどう働いていくのかを考えるための時間でもあります。
すぐに答えを出す必要はありません。
まずは現在の状態を整理して、
「今はどの段階なのか」
「何をすると回復につながるのか」
「復職に向けて何が必要なのか」
を一緒に考えていくことから始められます。
当院では、休職中の診療だけでなく、復職に向けた準備や、復職後も無理なく働き続けるためのサポートを行っています。
「このままで大丈夫かな」と感じている方は、一人で抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。
|

