働くビジネスパーソンの適応障害
適応障害とは
日常生活の中で、なんかのストレスが原因となって心身のバランスが崩れて社会生活に支障が生じたもの、原因が明確でそれに対して過剰な反応が起こった状態を言います。
日常生活の中で起こった出来事や環境に対してうまく対処できず、心身にさまざまな症状が現れて社会生活に支障をきたす状態を言います。ストレスの原因が明確であることが定義上重要です。
症状としては落ち込み、不安感、頭痛、不眠など人により様々ですが、仕事や学業を続けたり、対人関係や社会生活を続けることに問題がある状態になります。これらは一般的には正常な人にも現れる症状ですが、適応障害の場合はそれを超えた過敏な状態となります。
治療にはまず原因となっているストレスを軽減し、心理的に回復させることが必要です。また場合によっては薬物療法が必要なこともあります。(厚生労働省)
なぜ適応障害には薬が効かない?
適応障害はうつ病と違い、薬はあまり効かないと言われることが多いです。なぜ薬があまり効かないのでしょうか?
私たちの症状というのは、「自分自身(内部環境)」と「周囲環境(外部環境)」の間で生じます。適応障害というのは、この困難な外部環境により反応性に症状が出ていることを定義とします。
いわゆる症状に対して治療を行う薬は、睡眠を改善したり、ぼーっとする頭の症状をとったりすることには効果を発揮しますが、病気の本態は「自分自身」と「周囲環境」であり、これらを改善しなければ同じことの繰り返しになってしまい再発してしまいます。
例えばこのような症状はありませんか?
- 少し仕事をしただけで疲れたように感じる
- ふとしたことで涙が出るようになった
- 思考力や集中力が低下し、仕事のミスが多くなった
- ちょっとしたことでカチンときてしまい、仕事に支障が出ている
- 本や資料が読めない、何度も同じところを読んでしまう
- 頭がボーッとして思考が回らない感じがする
- 身体がダルくて仕事を休んでしまった
薬に頼らない適応障害の治療とは?
「自分自身(内部環境)」に対する治療
自分自身にアプローチできる治療としては大きく2つのフェーズに分かれます
・「急性期」
「急性期」にはまず心身を休め、心のケア、体のケアに力を入れます。当院では薬物治療の他に「TMS治療」、カウンセリングとして「こころ外来」、東洋医学のアプローチから「鍼灸治療」、生活指導として「セロトニンセラピー」を行っています。
・「心身回復期」「社会回復期」
心身状態が回復した後「心身回復期」「社会回復期」には原因に対する治療、再発防止策を作っていきます。この時期には再発防止トレーニングとしての「ビジネストレーニング」や生活指導として「睡眠外来」などを行っていきます。環境を変化させようと転職を考えられる方には転職に向けたステップをつくっていくカウンセリングを行う方もいらっしゃいます。
・「人間成長期」
復職、転職した時点がゴールではありません。復職、転職は通過地点であり、「よりよく自分らしく生き生きと働く」再発防止に向けフォローアップを継続します。
「外部環境」に対する治療
「外部環境」にアプローチできる治療法として「休職」「異動」「転職」するという選択肢もあります。
どんなに頑張っても環境にたいし、変化することができない、対応することができない時、私たちは自分を責めてしまう気持ちが強くなります。そのような時には一度環境から離れてみるという選択肢もあります。
ただこれらのアプローチは、次の環境、戻った環境が、自分にとって100%いい環境かわからないというリスクがあります。そのため最終的な再発防止には「自分自身」のストレスマネジメント力を上げておく必要があります。