東京・横浜 頭痛・片頭痛専門外来
頭痛にお悩みの方の推定人数
頭痛は、大きく分けるとすると一次性頭痛と二次性頭痛に分けられます。
一次性頭痛は、片頭痛、緊張型頭痛などを指しますが、
二次性頭痛はくも膜下出血や外傷など、原因のある頭痛を指します。
現在、慢性的な頭痛でお悩みの方は約4,000万人と推定されています。
そのうち、約840万人が片頭痛を持っており、
その中でも4人に3人は生活に支障が出ていると言われています。
頭痛は、不安や抑うつなどの状態になりやすく、
気分障害や不安障害といった精神疾患を伴うことも多くあります。
危険な頭痛を見逃さない
頭痛の原因は、筋緊張性頭痛(一次性頭痛)など緊急を要さないものも多いですが、
くも膜下出血などを中心とした危険な頭痛(二次性頭痛)を適切に見逃さず対応することが大事です。
特に「人生最悪の頭痛」「これまでに経験のない頭痛」というのは二次性頭痛の可能性を考えることが多いです。
当院では、すぐに危険は伴わないけれど痛みが続く「慢性頭痛」の治療を行っています。
一次性頭痛の種類
片頭痛
片頭痛は一次性頭痛の代表的な頭痛です。
頭の片方がズキズキ脈打つように痛むことが特徴です。
また、頭痛の前兆として、
ギザギザの光、オーロラやモザイクのような模様が20~30分見えて、
視界が悪くなる人がいます。
これを閃輝暗点といいます。
片頭痛はこのような前兆のある片頭痛と、前兆のない片頭痛に分かれます。
頭痛の発作中には、
前かがみの姿勢や、階段の昇降といった日常的な動作で頭痛が増強し、吐き気がして、吐いてしまう人もいます。
多くの方は、光や音に敏感になってしまいます。
頭痛発作は4~72時間程度続いて、自然に回復します。
住民調査では100人中8~9人、
30~40歳代の女性に限ると5人にひとりは片頭痛もちという統計が出ています。
また頭痛外来を受診される方の半数以上は片頭痛という統計も出ています。
脳の血管が拡張して周囲の神経を刺激することが痛みの原因と言われています。
ストレスや疲れがたまっている人、天候が変わると体調が悪くなる人などは起こしやすいとも言われていいます。
緊張型頭痛
実は緊張型頭痛は最も多い頭痛であり、
頭痛の3割から7割が緊張型頭痛と言われています。
症状は、後頭部中心の鈍い痛みが中心です。
片頭痛とは異なり、発作として感じることはありません。
また、姿勢の変化や運動変化で症状が悪化したり、吐き気がすることもありません。
主な原因は首や肩のコリです。
デスクワークやリモートワークなどで首や肩の血流が悪くなると、発症することがあります。
三叉神経・自律神経性頭痛(TACs)
目の奥や目の周りが強烈に痛む「顔面痛」と
涙や鼻水などの「自律神経症状」が
同時に起こることを特徴とした頭痛の総称です。
20−40代の男性に多い頭痛ですが、
最近は女性にも増えてきたと言われています。
一度発症すると1−2ヶ月にわたりほとんど毎日起こります。
アルコールを飲むとならずと言っていいほど頭痛発作が起こるので、
アルコールなどの誘因を避けるようにするといいと言われています。
薬物乱用頭痛
あまり知られていませんが、薬物乱用頭痛という頭痛もあります。
月の半分以上頭痛があり、週に2~3日以上頭痛薬を飲んでいる状況が、3ヶ月以上続いていれば
薬物乱用頭痛の可能性があります。
もともと片頭痛、または緊張型頭痛をお持ちの方が、
市販の頭痛薬や病院で処方された鎮痛薬などを月に10日以上内服することで、
もともとの頭痛が悪化する、もしくは今までとは違う頭痛が起こっていれば
薬物乱用頭痛と考えられます。
割合としては、
一般住民の1~2%ほどいると考えられており、
頭痛外来や頭痛センターでは10%以上を占めています。女性の占める割合が多いです。
治療
治療は大きく薬物療法と薬物療法以外に分かれます。
薬物療法の中でも西洋薬の治療は予防治療と急性治療に分かれ、また漢方薬の治療の選択肢もあります。
薬物療法以外では、行動療法、理学療法、ニューロモデュレーション、健康食品などがあります。
西洋薬での治療
ここでは特に有病率の多い片頭痛の治療について紹介します。
片頭痛治療は頭痛発作を改善する急性期治療と、片頭痛を起こりにくくする予防療法があります。
急性期治療はトリプタン系製剤を使用することが多いです。
トリプタン製剤と鎮痛薬を組み合わせながら使用することで、症状をコントロールすることが出来ます。
予防治療は、片頭痛発作が月に2回以上、あるいは生活に支障をきたす頭痛が月に3日以上ある場合は検討してみることが勧められます。
予防薬 | ミグシス、デパケン等 | 頭痛を予防する |
急性期治療薬 | トリプタン製剤(マクサルト等) | 早急に痛みを改善する |
NSAIDs | ロキソニン、ボルタレン等 | 痛みを改善する |
漢方薬での治療
漢方薬は西洋薬と異なり、「証」を見ながら処方をしていきます。
漢方医学で頭痛をみると、何らかの原因により、体のめぐりが悪くなり、「気」や「血」の流れが乱れてしまった状態となります。この「気」の流れや「血」の流れ、また「水」のめぐりを改善させるように漢方薬を選んでいきます。
さまざまな漢方薬がありますが、代表的な4つの漢方薬をご紹介します。
葛根湯は、風邪薬をしてよく使いますが、肩こりからくる頭痛にたいしてもよく使います。
五苓散は二日酔いの後の頭痛や台風などの気圧の影響から頭痛にたいし使うことが多く、
釣藤散と呉茱萸湯は共に気逆(ストレスなどがかかり、気が逆流する状態)に使う漢方薬で片頭痛に使うことが多いですが、
赤ら顔をしてのぼせている方は釣藤散、青白い顔をして手足が冷えている方には呉茱萸湯など使い分けていきます。
薬物療法以外の頭痛治療法
薬物療法以外の頭痛の治療法には以下のようなものがあります。
①行動療法
リラクゼーション法、バイオフィードバック療法、認知行動療法、催眠療法
②理学療法
運動、鍼灸治療
*鍼灸について詳しく知りたい方はこちらから
③ニューロモデュレーション
経頭蓋磁気刺激(TMS)、三叉神経刺激、迷走神経刺激(VNS)
*TMS治療について詳しく知りたい方はこちらから
④健康食品・サプリメント
コエンザイムQ10、ナツシロギク、マグネシウム、ビタミンB2
当院ではさまざまな治療法を組み合わせて、一人ひとりの症状に合わせた治療を行っております。
参考文献:
「頭痛の診療ガイドライン2021」(日本精神神経学会・日本頭痛学会・日本神経治療学会/監,「頭痛の診療ガイドライン」作成委員会/編),医学書院,2021
「慢性頭痛の診療ガイドライン2013」(日本精神神経学会,日本頭痛学会/監,慢性頭痛の診療ガイドライン作成委員会/編),医学書院,2013
樫山鉄矢,清水敬樹,ER実践ハンドブック,羊土社,2015
竹田貴雄,痛みの漢方治療,MCメディか出版,2016