【医師解説】
PMS専門外来 生理前のイライラや不安 

生理前のイライラや不安、もう一人で悩まない 

生理前に落ち込んだり、イライラしたり、体がだるく感じたりすることはありませんか?
そのような症状は、PMS(月経前症候群)かもしれません。

PMS(月経前症候群:Pre-Menstrual Syndrome)とは
生理が始まる10~3日前に精神的・身体的な症状が現れ、生理が始まるとその症状が軽くなったり、なくなったりする女性特有の状態です。

女性の心身不良の原因はホルモンの波

女性はエストロゲンとプロゲステロンというホルモンによって性周期があり、この周期で心身に波が生じます。「いつもの自分じゃない」と感じる行動や感情に後悔したり、集中力が低下したり、眠気やだるさが強くなったりと、いつものパフォーマンスが発揮しづらくなることもあります。


女性ホルモンにより、月経時は「生理痛・過多月経」、生理後の卵胞期は「貧血」、排卵期は「排卵痛」、生理前の黄体期は「PMS」と、女性の心身は休まることなくいつも女性ホルモンに翻弄されています

PMS(月経前症候群)のチェックリスト

生理10~3日前に下記の症状がある場合、PMS(月経前症候群)の可能性があります。

パフォーマンス低下
□ 集中力低下
□ 朝起きるのがつらい
□ うっかりミス

心の症状
□ 大事な人に当たる
□ 感情のコントロールが難しくなる
□ 涙が出る

体の症状
□ 頭痛・腹痛・腰痛
□ 日中に眠い・朝起きるのがつらい
□ 肌荒れ(ニキビ)

PMSの症状は200種類以上あり、症状の出方にも個人差があります。

当院のPMS(月経前症候群)治療

当院では、ライフスタイルや不調の原因にあわせ、PMSの薬やPMSカウンセリングをご案内します。

▼PMSカウンセリング
▼漢方・鍼灸
▼SSRI(抗うつ薬)
▼低用量ピル

PMSの薬であるSSRI(抗うつ薬)や漢方、ピル、痛み止め、鉄剤など原因や症状に合わせた治療を行います。

働く女性のPMS(月経前症候群)はお任せください

PMS(月経前症候群)は特に一生懸命働く女性に多いといわれています。

  • 無理せず頑張れる自分でいたい
  • 仕事のパフォーマンスを安定したい
  • 相談するまでではないけれど、結構頑張っている

仕事や勉強の効率がおちたり、ミスをしたり、大切な人とのかかわりがうまくいかず悩む方はお気軽にご相談ください。

※自分を傷つけたり、周りの人を傷つけたことがある、おそれがある方、より専門的な医療機関の受診が必要と判断される場合には当院治療が受けられない可能性があります。

オンラインPMS相談

PMS外来が受診しづらい方や、遠方にお住まいの方、自分に治療が必要なのか相談してみたい方は、オンラインPMS相談もご利用いただけます。

PMS不調で受診するタイミング

  • 病院を受診するべきか相談したい
  • 何科に受診したほうがいいか知りたい
  • 自分にあう治療があるか知りたい
  • 遠方で病院の受診ができない
  • 仕事や育児で受診がしづらい

「こんな症状でも受診してもいいか」「甘えかもしれない」と感じて背負い込む方もいます。不調を感じた場合には、お気軽にお問い合わせください。

オンラインPMS相談:3,300円(税込)

※オンライン診療>オンラインPMS相談からご予約ください

 PMS(月経前症候群)治療の症例

PMSの症例
▼30代 仕事の効率をあげたい

主訴
生理前の不安感や集中力の低下により、仕事の効率が落ちて悩んでいました。また、イライラしてパートナーに八つ当たりすることがあり、自分をコントロールできるようになりたいと受診されました。

治療内容
ピル・抗うつ薬(間欠療法)・カウンセリング

経過
生理痛も強かったため、まずPMSおよび生理痛の改善を目的にピルの内服を開始。生理痛は徐々に軽減しましたが、不安感やイライラが残っていたため、生理前だけ抗うつ薬を内服する間欠療法を6か月間実施しました。その結果、1~2か月目で症状が改善。さらに感情のコントロール方法を身に付けたいとカウンセリングを受けられました。現在は、仕事に集中できるようになり、パートナーとも感情に左右されることなく関わることができるようになったと喜ばれています。

▼30代 産婦人科でPMDDと診断され紹介された

主訴
1年前の転職をきっかけに人間関係に悩み、半年前ごろから生理前にパートナーに強く当たってしまうようになりました。かかりつけの産婦人科でPMSと診断され、ピルを処方されていました。

治療内容
妊娠を希望するためピルの治療は控えたいと、産婦人科の先生から心療内科である当院の受診をすすめられ受診をされました。初診時の問診で、イライラしたり、落ち込んだりするのは生理がはじまっても続いていました。

経過
生理前の落ち込みが改善し、妊活と仕事を両立できるようになりました。

▼20代 社会人に向けてPMDDを改善したい

主訴
ココロ不調のPMS(生理前の落ち込み)

治療内容
SSRI

経過
抗うつ薬の間欠療法を開始し、社会人としての準備を進めながら症状を改善しました。

▼20代 入社に向けて女性ホルモンをコントロールしたい

主訴
生理前の眠気・イライラ・落ち込み

治療内容
ピル

経過
ピルを使用してPMS症状を改善し、仕事や生活に集中できるようになりました。

▼30代 気圧の変動とPMSによる頭痛

主訴
PMS(生理前と気圧の変動による頭痛・気分の落ち込み)

治療内容
漢方・ピル(産婦人科処方)

経過
漢方薬とピルの併用で頭痛やPMS症状が軽減し、生活の質が向上しました。

▼40代 自分にあう漢方を処方してほしい

主訴
更年期を背景としたPMS(イライラ) 冷え症 ホットフラッシュ

治療内容
漢方

経過
漢方薬を体質に合わせて調整し、更年期症状やPMSが改善しました。

PMS(月経前症候群)のよくある質問

PMS・PMDDに関するQ&A
基本情報
PMS(月経前症候群)とは何ですか

PMSは生理前にカラダ不調やココロ不調の症状が出るもので、生理開始とともに治まっていくものとされています。
カラダ不調としては、疲労感、腰痛、頭痛、むくみ、胸のハリなどがあります。
ココロ不調としては感情の波やイライラ、落ち込み等があります。
PMSは女性ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンの波によりおこるといわれています。

PMDD(月経前不快気分障害)とは何ですか

PMDDとはPremenstrual Dysphoric Disorder(月経前不快気分障害)です。
生理前の2週間、黄体期にイライラや落ち込みが強くでて涙が勝手に出たりするような症状が出ます。

症状と特徴
生理が始まってもPMSの症状が残ることがある?

一般的にPMSの症状は生理開始とともに治まるとされていますが、一部の方では生理開始後2~3日、または4日以内に症状が徐々に消える場合もあります。

ピルを飲んでもPMSの症状が残ります

ピルを服用しても症状が残る場合、追加の治療が必要なことがあります。例えば、漢方や抗うつ薬を組み合わせることで改善が期待できる場合があります。

生理前以外も調子が悪い場合はどうすればよいですか?

生理以外でも調子が悪い場合、PMS以外の病気(PME: 月経前増悪など)が関与している可能性があります。専門の医療機関での診断が推奨されます。

PMSは自律神経が乱れやすい?

PMSでは交感神経が亢進し、副交感神経が低下することがあります。これにより熟眠感の欠如やストレス耐性の低下がみられることがあります。

生理前に過食やストレス食いがしたくなるのはなぜですか?

生理前は女性ホルモンの変化によって基礎代謝が上昇します。また、セロトニン不足により甘いものや炭水化物を摂りたくなることがあります。

治療法とサポート
漢方の体質とはどのようなものですか?

漢方の体質は以下の要素を基準に判断されます:
・体力の有無
・冷えの有無
・気血水という体質バランス
漢方治療では体質を改善することで、複数のお悩みを同時に改善することを目指します。

予約なしでも受診できますか?

基本的に予約制を採用している医療機関が多いですが、急な症状や相談の場合、予約なしでも受診できることがあります。事前に医療機関にお問い合わせください。

SSRI(抗うつ薬)とは何ですか

SSRIは選択的セロトニン再取り込み阻害薬で、脳内のセロトニンを増加させることでPMSやPMDDのココロ不調を改善します。

SSRI(抗うつ薬)の依存性が不安です

SSRIは依存性がほとんどないとされています。少量の短期間使用でも効果が期待できるため、医師と相談しながら安心して使用できます。

生活と影響
PMS/PMDDは冬に調子が悪くなる?

PMSは冬季うつ病と関連があり、セロトニン不足によって症状が強くなることがあります。冬場に悪化する場合は、日光浴やセロトニン補充療法が有効です。

妊活中はPMSになりやすい?

妊活中はホルモンの変化やストレスでPMSが悪化することがあります。妊娠を希望している場合でも治療法が選べますので、医師に相談してください。

PMSがあると更年期になりやすいですか?

PMSがある人は、更年期障害のリスクが高いとされています。早期治療が更年期症状の予防に役立つ可能性があります。

まとめ

PMS(月経前症候群)は、適切な治療で症状の改善が期待できます。自分のホルモンを主体的にコントロールし、感情や思考を整えることで、健康や生活をより良くする一歩を踏み出しましょう。

来院初診による相談やオンラインPMS相談で、今抱えている症状や悩みを軽減するためのサポートをいたします。

田中先生が女性産業医として「働く女性の産業保健」の特集をされました

女性ホルモンとプレゼンティーズム

最近では、PMSは仕事の能率が上がらない状態(プレゼンティーズム)の原因としても注目されており、社会での女性の活躍には議論を避けては通れません。

PMSは少しずつ世間に認識されつつありますが、職場ではまだ十分に理解が進んでおらず、悩む女性が相談相手を見つけられずに人知れず苦しむことが多いのが現状です。

不調を我慢して働くのではなく、不調だからこそ積極的に医療を受けられる社会を目指したいと考えています。

働く女性が増える中、PMSや女性ホルモンに関する企業内での啓発活動は非常に重要です。当院では女性産業医が多数在籍し、女性ホルモンの不調と生産性について、企業内研修やメディアを通じた啓発活動を行っています。

田中遥先生が女性産業医として「働く女性の対人関係とストレス」の講演会を行いました。

令和4年度女性活躍推進事業「働く女性のメンタルヘルス講演会」

職場の対人関係でストレスを感じる女性が、健やかなメンタルヘルスを保ちながら働くためのヒントとして、「ストレスを感じやすい理由」と「ストレス軽減に役立つコミュニケーション方法」をテーマに、NPO法人アサーティブジャパンの森田先生と共に講演を行いました。